木の種類のお話

川上木材で主に扱っている木の種類をご紹介いたします。

杉(スギ)

「そんなに嫌わないで!」「どこまでも、まっすぐ」
Cryptomeria japonica(クリプトメリア・ジャポニカ) という学名の、日本特産の代表的な木です。語源は「直ぐ(すぐ)木」からきているといわれ、その通り真っ直ぐに伸びています。そのため、軟らかい材質にもかかわらず比較的狂いが少ないのも特徴です。近年は、花粉症や、安価材として、目の敵にされている向きもありますがそんなことはありません。正しく植林して、正しく使用すれば、これほど私達に身近な木はないのです。見た目の優しさ、肌触りの心地良さ、日本人の琴線に触れるものであるようです。

杉の木のシルエット

杉の木のシルエット。
「まっすぐ」の「すぐ」が「スギ」の語源とも言われるように、空に向かって真っ直ぐ伸びる樹形。

コラム「宮崎県と杉」

宮崎は1991年以来連続で杉の生産量が日本一です。その要因は大きく4つあります。1、地形、2、土質、3、気候、4、歴史。さらに5、産業構成、6、施策なども付加要因として挙げられるでしょう。

日本で生産される代表的な針葉樹は杉、桧、松ですが、この中で一番貧しい土壌で生息できるのが松、次いで桧、杉の順となります。逆にいえば杉は土壌に栄養がないと生育できないということです。太平洋に面し、比較的山がなだらかで表土が厚い宮崎は杉が生育するのに絶好の土壌を持っているといえます。周知のように日本でも有数の日照時間を誇る宮崎では、寒冷な地域で植林される杉と比べますと、成長も早いといえます。

さらに江戸時代に現在の日南にあたるところにあった飫肥藩は、植林を大いに推奨しました。現在では「飫肥杉」は日本を代表する杉として認知されるに至っています。このような歴史を持つ宮崎は、産業としての林業が以前より重視されており、それを活性化させるために行政は様々な施策を行っています。

宮崎が他県に比べて杉に生産量が多いのは以上のような理由です。

桧(ヒノキ)

「香りであなたを癒します」
日本では、過去から現在に至るまで、材木として最高級の素材として扱われています。木材としては、構造、耐久性、見栄え、質感、芳香など、全てに渡って優れた特性を持っています。ただしコスト的には非常に高価になります。柱材として使われることが多いですが、もちろん、そのような構造材全般から下地材、造作材、板材、建具材に至るまで、幅広く利用できる木です。

樟(クスノキ)

「防虫が得意です」
樟は樟脳の原料にもなるとおり、防虫効果が高いため、タンスの引き出しや衣裳箱などに用いられます。辺材と心材の境界が明瞭で辺材は灰白色〜淡黄褐色、心材は紅褐色〜暗緑です。また木肌は緻密で耐湿・耐久性に優れ、加工も容易になっています。材のままでも芳香が強く、美しい杢(もく)が出ることがあり、寺社仏閣にも用いられることがある高級材です。もうひとつ有名なのが巨木となることです。樹高は20m以上に達し、空(うろ)ができやすいのも特徴です。映画『となりのトトロ』で、トトロの森に出てくる木の幹の空間は樟をモデルにしています。宮崎県庁の樟並木が有名ですが、宮崎市の市木にもなっています。

イスノキ

ユスノキ、ユシノキ、ヒョンノキとも呼ばれ、材質が重く硬いので加工には工夫が必要です。心材の色は淡紅褐色で辺材は淡黄褐色。仕上りが緻密できれいなため床板として利用されるほか、体育用、医療用などの器具材や、機械材などとしても使われます。また、立木のまま枯らしたものは「ススケ」と呼ばれ、床柱などにも使われる高価な銘木です。切削などの加工性や乾燥は困難ですが、強度は国産材の中で最も強い材に属します。

榧(カヤ)

碁盤の原料としても有名な榧の木。床柱などでも使われる銘木ですが、「槇(まき)は万年、榧は限りなし」といわれるほどの耐久性があります。弾力性に富み、光沢があり、緻密で美しい木目と色合い、そして独特の芳香を放ちます。樹脂分が多いので経年変化が美しく、独特なしぶい黄金色・飴色になります。 特に宮崎産のものは有名で、日向の蛤(はまぐり)碁石と合わせて最高級品とされています。

欅(ケヤキ)

「広葉樹の王様!」
日本の広葉樹のなかでも第一の良材として、古くから建築材や家具材、建具材、造作材など幅広く用いられています。特に寺社建築に重用されたり、大黒柱や床柱としても用いられたりと、銘木の代表格とも言える存在です。 心材は特有の黄褐(オレンジ)色を持ち、年輪が明瞭で光沢があります。また、杢(もく)といわれる、美しい木目模様が現われることがあり、重宝されています。

ケヤキのシルエット。
ほうきを逆さまに立てたようなすっと広がる樹形。街路樹で目にすることも多い。

山桜(ヤマザクラ)

「日本人が大好きな花といえば・・・」
本桜とも呼ばれ、山地に広く自生する野生の桜です。古くから人々に愛好されており、日本の風情とは切っても切れない関係です。材質が強靭で、加工しやすく美しいことから、家具や内装・造作材などに広く利用されています。また、葉を桜餅に使ったり、チップを燻煙材(スモークチップ)に使うなど、その独特な香りも愛されています。

サクラの木のシルエット。
モコモコとした満開の時には、木全体に目を向けて樹形を意識するのも楽しい。

フェニックス

「南国ムードを醸し出す」「宮崎と言えば、この木」
アフリカのカナリー島原産で病害虫に強く、寿命が長いのでフェニックス(不死鳥)と名づけられたといわれています。宮崎では大正のはじめころ、宮崎市内にある天神山公園に植えられたのが初めてです。県庁正面にそのうちの一本があり、日南海岸、橘公園などとともに南国宮崎にふさわしい景観を形づくっています。


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